退院が決まると、家族は急に忙しくなります。
手続き、送迎、家の準備。食事のことは、だいたい後回しになります。
でも、退院後、最初の1週間で書いたとおり、家に帰った最初の1週間がいちばん大変です。 その準備は、退院する前にしかできません。
この記事は、退院日より前の話です。
食事だけのカンファレンスは、たぶんありません
退院が決まると、病院によっては退院前カンファレンスという話し合いの場が持たれます。医師、看護師、リハビリ、ソーシャルワーカー、ケアマネジャー、そして家族。関わる人が集まって、家に帰ってからのことを決める場です。
ただ、正直に書きます。
食事に着目したカンファレンスは、私のいたところではありませんでした。
話し合われるのは、もっと大きな枠のことです。食事だけのために場が設けられることは、まずないと思ってください。
でも、食事の話はされています ── 家族のいないところで
ここが、この記事でいちばんお伝えしたいことです。
看護師だけで行うカンファレンスでは、食事のことを話しています。
対象になる患者さんがいれば、こういうことを検討しています。
- 食事の形態を上げられるか
- どうしたら摂取量が増えるか
- 点滴に戻す選択が必要か
食事の形態は誰が決めるのかで書いたとおり、形態はなんとなく決まっているわけではありません。検討されています。 ただ、その検討は家族のいないところで行われます。
家族に届くのは、決まった結果だけです。「きざみ食です」「とろみをつけています」。なぜそうなったのか、何が検討されたのかは、聞かないと出てきません。
だから、聞いてください。
「形態を上げる話は出ていますか」
「食べる量は、どう見られていますか」
聞けば答えます。 隠していることではなく、聞かれていないだけです。
正直に書いておきます
私がいたのは、退院される方がほとんどいない病院でした。急性期で、退院というより転院や施設へ移る方が多いところです。
だから、退院指導そのものを何度も経験したわけではありません。ここは私の弱いところです。
もし移り先が別の病院や施設なら、転院・施設に移るときのほうが役に立つと思います。そちらは、送り出す側も受け入れる側もやってきたことを書いています。
そのうえで、退院のときに見てきたことを書きます。
退院のとき、誰が何を話すか
食事について家族に説明するのは、基本的に看護師です。
内容としては、たとえば「塩分や、味付けの濃いものばかりにならないように」といったレベルの話をしていました。細かい栄養指導というより、生活の注意に近いものです。
ただ、それだけではない場合もあります。
栄養士に相談して、気をつける点を聞いたうえで、栄養士が直接ご家族に伝えることもありました。
ここは知っておいてください。栄養士が出てくることがある、ということです。
食事のことで細かく聞きたいことがあるなら、
「栄養士さんから話を聞くことはできますか」
と聞いてみてください。病院には栄養士がいます。 向こうから出てくるとは限りませんが、頼めば繋いでもらえることがあります。
家族が聞いておくこと
ここが実務です。退院日より前に、これだけは聞いておいてください。
1. 食事の形態
「今、どの形態で食べていますか」
「常食ですか、一口大ですか、きざみですか」
食事の形態は誰が決めるのかで書いたとおり、病院では形態に名前がついています。その名前をそのままメモしてください。
2. とろみ
「とろみはつけていますか」
「つけているなら、どのくらいの濃さですか」
濃さは言葉で伝わりにくいところです。可能なら、実物を見せてもらってください。 とろみ剤の選び方も参考に。
3. 食事の回数と、間食
「1日3食ですか」
「間食は出していますか。何を、いつ出していますか」
間食とおやつで書いたとおり、病院では間食も医師の判断で出していることがあります。家で急にやめると、1日の量が落ちます。
4. 介助が要るかどうか
「自分で食べていますか」
「介助しているなら、どのくらい手を出していますか」
ここは家族がいちばん見誤るところです。病院でできていたことが、家でもできるとは限りません。
5. むせることがあるか
「食事中にむせることはありますか」
「あるなら、どういうときですか」
これは安全に直結します。むせたとき、どうするかも読んでおいてください。
6. 道具のこと
「スプーンや食器で、工夫していることはありますか」
食事の道具で書いたとおり、病院で何か工夫していたなら、それを家でも続けたほうがいいです。
聞くときのコツ
メモを持っていってください。 その場で書いてください。
退院の日は、情報量が多すぎます。食事のこと以外にも、薬、通院、書類。家に帰る頃には、聞いたことの半分は飛んでいます。
それから、聞く相手を選ばなくていいです。 看護師でも、栄養士でも、リハビリでも、手が空いている人に聞いてください。分からなければ、分かる人に繋いでくれます。
入院中に家族ができることでも書きましたが、聞くことは遠慮ではありません。 聞かれたことには、必ず答えます。
家に帰ってから、同じようにはいきません
ここは、先に知っておいてください。
病院では、決まった時間に、決まった形で、温かいものが出てきます。病院食は、なぜあの形なのかで書いたとおり、保温庫つきの台車で運ぶので、常に温かい状態です。
家では、そこまでできません。 温度のことだけでも、家庭のほうが不利です。
だから、病院と同じことをしようとしないでください。 形態と、むせの有無と、量。この3つが守れていれば、まずは十分です。
まとめ
- 食事だけのカンファレンスは、まずありません
- でも食事の話はされています。家族のいないところで。だから聞く
- 説明するのは基本的に看護師。頼めば栄養士に繋いでもらえることもあります
- 退院日より前に聞いておくこと ── 形態/とろみ/回数と間食/介助/むせ/道具
- メモを持っていって、その場で書く
- 聞く相手は誰でもいい。分かる人に繋いでくれます
- 家で病院と同じことをしようとしない。 形態・むせ・量の3つから
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この記事を書いた人
調理師の資格が取れる高校を卒業後、看護師として病院に勤務。集中治療室(ICU)を経て、再び食の世界へ。医療と調理の両方の現場から、家庭でできる療養食のことを書いています。
看護師/調理師/食育インストラクター/野菜ソムリエ
